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ヤナギ-3
茶色のなんの模様もないもふもふした感じの毛色はあまり他では見ない毛色だった。よく見ると手足が一般的な猫よりも太い気もしたけれども、だけど、猫の姿はとても可愛らしくて優斗は思わず、
「かわいい……」
と呟いた。だけど、ランフィスは何だか不機嫌そうな複雑な表情をしていた。
「ランフィス……?」
優斗はそんなランフィスを不思議に思って話し掛けた。
(……怒っているのかな?……何でそんな顔をするんだろう?)
よくわからないまま優斗はランフィスを見つめる。そこで、ビィが何かを察したように言葉をつづけた。
「申し訳ございません……ユウト様。今どかしますので」
「大丈夫。このままでいいよ、重たくないし……それに、かわいいし」
優斗は申し出を断る。
「……そう言って頂いて申し訳ありません。ですがあまり、ヤナギを甘やかさないで下さい」
「ヤナギ?」
「はい、申し遅れましたが、この者の名前はヤナギと申します」
「ヤナギっていうんだ?この猫の姿のヤナギだったなら大歓迎なんだけど……」
そう言って優斗はそっとヤナギの背中を撫でた。猫のヤナギの背中は少し温かくて毛がふわふわだった。それを横目で見ていたランフィスはさらに不機嫌そうな表情をしながら、
「さて、何故、このヤナギがビィの所へくることになったのか?」
やっと本題を話すように促した。
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