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ヤナギ-4

「はい、順に追ってお話します。少し長くなるのですが」 ビィはすっと椅子にきちんと座りなおしてから話し始める。 「この者の名は先ほど言った通りヤナギという名です。ヤナギは純粋な獣人ではありません」 「獣人ではない?……では、何で猫から人へと成った?」 ランフィスは未だ険のある表情のままだった。 「ヤナギは半分、(あやかし)の血を引いております」 「(あやかし)……妖怪?のこと?」 優斗が聞くと、 「妖怪?」 ランフィスも聞き返した。 「こちら側の世界では魔獣、魔物と言ったほうが近いかもしれません」 「こちら側……と言っていたが、では、彼はこちら側の者ではないのか?」 ランフィスが再び問う。 「ヤナギはこちら側の世界の者です。ですが、彼の父親が向こう側の世界の妖です」 「向こう側のってじゃ、ヤナギのお父さんはこっちにどうやって・・やっぱり落ち人???」 優斗は驚いて思わず聞いてしまった。 「落ち人……おそらくそうだとは思いますがですが……」 (落ち人……また落ち人だ……) 優斗は落ち人という言葉に微妙に反応してしまう。 「ただ、妖の場合はとてもつよい妖力……こちらでは魔力と同じですが……そのつよい妖力を持っているものは自らの意志でこちらの世界へ来られるものもいるといると聞きます。ただヤナギの父親がそうだったのかは分からないです。ヤナギが小さいころに亡くなったそうなので、それに母親のラナカも良く分からないようでした」 「そうなんだ?じゃ、ヤナギは妖と人のハーフ?」 「はーふ??何だそれは?」 ランフィスが思わず聞いてきた。 「あ・・・。ごめん。えと。混血ってこと?」 「……混血・・」 それでもランフィスはあまり腑に落ちていない様子だったので優斗は少し慌てる。 「えっと・・・こちらではそういう言い方もしないの?」 「こちらではミクスといいますかね?意味的には雑種が近いかと」 ビィがフォローするかのように答えた。 「雑種・・ってなんか」 (犬とか猫みたいで・・まあヤナギは猫だからいいのかもだけど・・・) 優斗は納得したようなしないような気がした。 .

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