235 / 379
ヤナギ-13
その時、優斗はビィの言葉を聞きながら、ふと思った。
(ラナカさんの事を話す時、ビィはとても優しい顔になるな……)
だから、ビィに聞いてみた。
"ヤナギのお母さんってどういう人だったの?"
ビィは少し間をあけてなにか遠くを見るような目をして言った。
"とても物静かで綺麗な方でした"
"病気で、亡くなったの?"
"彼女の病は私の力ではどうにもならないものでした。おそらく彼女の持って生まれた原因のもの……"
ビィは悲しさと何か悔しさの入り混じったような表情をした。
(もしかして、ビィはヤナギのお母さんラナカさんを好きだったのかな?)
だから、ヤナギを自分の所へ引き取ることにしたのかもしれない。いくら獣人の中で浮いた存在になるからといって、本来なら関わらなくてもよかったはず……なんとなく優斗はそんな気がした。
(もっと色々聞きたいな)
だけど、ビィの事を従者が呼びに来て、そこで話が終わってしまった。それと同時にヤナギが目を覚ました。
ビィはヤナギにかけた術がすぐに切れてしまったのに驚いたが、ヤナギが眠らされていた事にとても怒って暴れそうになっているのを見て慌てて彼を抱えて部屋を出て行った。
そんなこんなで、あわただしかった。
(疲れたけれども、なんだか楽しかったかも……)
と、優斗は思う。
(でも、ヤナギは猫のままでいいのにな…)
……
…
…
ともだちにシェアしよう!