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キスを-4
優斗はランフィスの腕の中で目を閉じて居たけれども、顔をあげてランフィスの頭をそっと引き寄せた。
それから顔を撫でてたしかめるようにして唇にキスをした。
(映画だとこうやると精気をもらえる……ああでもそれは映画での話・・)
ランフィスはいきなりキスをしてきた優斗に驚いた。
「ユウト?」
でも優斗はなにやらぼんやりとして居て目も開けきっていない様子だった。
「寝ぼけているの?」
ランフィスは思わず聞いた。だけど、
"……寝ぼけていても、ユウトにキスをされるのは嬉しいからいいよ?"
小さく囁いた。
優斗は、
"……ランフィスにあげた気を精気をもどしてる……の……"
すごく耳を澄まさないと聞き取れないほどの声で呟いた。
「……精気をもどす?」
ランフィスが聞き返すも、優斗はさらなる夢の底に入ったようで再び眠ってしまった。
だから、ランフィスはもう一度柔らかく優斗を抱きしめ、低くなってきた体温を温める様に身体を優しく撫でる。
暫くそうやっていると、身体もいつもの温かさに戻って、寝息も浅いものではなく安定してきたようだった。
(よかった……)
ほっとしてランフィスもそのまま寝入ってしまった。
もう明け方は近く、空はうっすらと白み始めていた。
………
……
…
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