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茶色の2-6
"あ、ユウト…にはちゃんとユウト"様"って言わないといけないって・・ビィに言われた"
それはヤナギは分かっていたけども、でも、
(ランフィスにはきちんとランフィス様と言わないといけないっていうのは分かったけれども、ユウトにはユウト様って言うのはとても・・)
なんか遠くなった感じで嫌……と思っていた。
「いいよ。俺には"様"なんてつけなくても、あ、でも、他の人がいる時は言ったほうがいいかも……煩く言う人もいるからね」
そんな心配をしているヤナギに優斗は優しく答える。
"それはビィ?のこと?"
同時にくすくす笑うようにヤナギが
「ミャウミャゥゥ」
と鳴くいた。
「じゃあ、今から俺、風呂入るから。だからね。ヤナギは今日はビィに見つからないように戻って。ランフィスに一緒に勉強できるように頼むからね」
優斗はそうナギに言うとヤナギがすごい不満げに言い返す。
"ええええ。戻るの嫌だよお?今日、一緒に遊ぼう?庭で"
「うーん。でも今日は戻ろう?ビィに怒られるよ?それに、俺と一緒に勉強しようっていうお願いするのには印象を悪くするのはよくないんじゃないの?それに、ランフィスに見られてもよくないし」
優斗に言われるとヤナギはとてもしゅんと項を垂れる。
"わかった・・・"
それから何か思い出したみたいに
"それと、俺ね、ヤナギ(柳)じゃなくって言い方。YA!ナギっていう発音だから"ヤ"に力入れる感じ"
そう言ってスタッと優斗の膝から床へ降りた。
「ヤナギ……?」
と一瞬、優斗はキョトンとしてから言う。そして、
「わかった……よ。うん。それじゃ。ビィに気が付かれないように早く戻ってね」
廊下へ続くドアを開けた。
「…ミャァ……」
ヤナギは優斗の足元からスタスタとドアに向かって歩いて行く。廊下に出ると、控えていた侍女の一人がヤナギを見て吃驚する。でも、優斗がそっと侍女に、
「内緒ね?」
と言うと、侍女は少し微笑んで会釈をした。
ヤナギは廊下を少し歩いてから優斗の方へ振り向いて口を開いて鳴いた。だけど「にゃあ」という鳴き声は聞こえなかった。
「ヤナギまたね?」
優斗がそう言ったのを聞いてヤナギはそのまま走り去った。
…………
……
…
…………
……
…
優斗は前々からこちらの世界の知識が乏しい事を気にしていた。
この機会に、ランフィスのパートナーになるのならば色々な常識的な知識も必要なことであると、そう主張して勉強することを頼み込むことにした。
──それで……。
ヤナギと優斗は無事一緒に勉強する運びとなった。特に他に家庭教師など見つける事もなくビィがそのまま教えることとなる。それは、魔道を扱う人たちは色々な知識を持っていて、魔道士の最高峰であるビィはうってつけであるのと同時に、"特殊"な存在である優斗とヤナギの2人に教えるのはビィにしか出来ないからだ。
ランフィスは"優斗とヤナギが一緒に"というのを嫌がるような様子だった。だけど、ビィは何故か優斗とヤナギが一緒に勉強をするという事には賛成していた。
「誰かと一緒に学ぶというのは良い事です。一人で学ぶよりも効率がいいのです。それに、それとは別に他の理由もあります」
「その"別の理由"とは一体なんだ?」
ランフィスが聞くとビィは説明をはじめた。
「ヤナギとユウト様が日中一緒にいるというのは安全面でとても良いと言えます」
その答えにランフィスは不思議そうな表情をした。ビィは構わず続ける。
「ここは結界もあり安全です。ですが、先日の事件の事もあります。常にユウト様を護る侍衛は必要です」
今はまだ、動きは無いけれども、闇の皇子がいつまた何をするか分からない。
「あれだけでは収まったとは思えないのです」
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