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その日-3

それが、二人の両の手のひらから湧き上がり、 聞こえない音はただただすごい風圧となり、光は束となり、二人を包み上げた。 それは、こちらの世界に来てすぐの時ランフィスが優斗に同じような (……意識の同期?) 優斗はそれであると気づいた。 (あの時は俺は意識を失った。たしか、気の力と同等の力がなければ受ける方もまたそれを出すほうもできないものって……聞いた) だけどこれは、皇と継ぐ者にしかできない儀式である。ここには、皇と継ぐ者とそのそれぞれのパートナーしかこの場にはいられない。これを執り行うという事を知るのはこの4人のみ。 これは誰にも知れない事。だが皆が知る事でもある。 その光の放出は、いつもの気の放出と違いほんの一瞬だった。しかし、バスティンとランフィスの中の時間はとても長い長い時間だった。 ソレが終わったと思われた時、ランフィスの身体全体が光り輝き、と同時にバスティンは黒く黒くなるように見えた。それは本当に少しの間の出来事ですぐに元に戻った。 バスティンはなんとなく小さくなっているように見え、 「お二人の交代の儀をしかと見届けました」 そう言うレイアはいつもの堂々とした雰囲気が無くなっていた。バスティンは立つのがやっとな感じで、レイアはそんなバスティンを支える。 「これですべて終わったよ。私が未だまだ世に存在できているとは思わなかった。だが、私もレイアも後は表から消えるのみ。後は任せた」 そう言って2人はその場からすーっと消えた。少なくとも優斗には"消えた"ように見えた。 優斗は、吃驚して何がおこったのか理解できなくて暫く動けないでいた。 .

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