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公になる-1
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ついに、即位の式の日になった。
ランフィスが正式に皇になる即位の式。
いよいよ今日がその日だ。即位の式からすぐに優斗のお披露目となる。
その支度をするために優斗は朝早くから起きることになった。
今日は色々世話をする侍女たちが付いて回った。本来なら世話をするはずの侍女たちだが普段は優斗が嫌がって1人で身支度をしていた。が。今回ばかりは優斗の身支度をすべて整えるように待ち構えていた。
風呂には何故か数回入れられて、優斗も侍女たちに恥ずかしがっている余裕もなく滞りなく行われた。
髪も綺麗に梳かされる。
侍女たちは口々に色々優斗に向かって言う。
「ユウト様は髪が本当に綺麗でいらっしゃる」
「こんなに綺麗な黒髪な方が他にいらっしゃらないですよ?」
たしかに、こちらの世界に来てから優斗は自分のような黒い髪の人はあまり見かけないと思った。さらに優斗のように癖のない真っ直ぐの髪はもっと少なかった。
(こちらの世界に来てから前々から少し伸び気味だった髪の毛がさらに伸びてしまった。髪の毛が伸びるのが早い気がする)
それは多分……ここは、水もきっと綺麗だし、食べ物もきっと身体によいものに違いないし……。
(そりゃ髪の毛も伸びるよねって感じ。よくよく考えると向こう側の世界にいた時は夏は日に当たり放題で髪の毛痛み放題だったし。あと、夜更かしはしたし。食べ物は・・ジャンクフード食いまくりだったし…なあ……?)
そんな事を考えながら着せられた服は綺麗な白い服だった。いつもは、だらんとしたチェニックみたいな服を着ていたけど、今日はもっときらきらしてつやつやの布地のもので、ベトナムのアオザイみたいなかんじだと優斗は思った。
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