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公になる-2

優斗は、向こう側の世界にいた時にこういった国の代表の即位式的なものは、テレビで見た記憶があった。車でパレードとかやっていて、あんな感じなのかなとか想像していた。 だから、ランフィスの即位式とあと自分のお披露目はどんなに豪華にやるのだろうかと思っていた。 だけど、それはとても厳かで静かに執り行われた。 その様子は向こうの世界でいうテレビ中継みたいに映して、それを陽の国の街中へ映像を流した。 優斗はこちらの世界でもそういうものがあるというのをはじめて知った。皇宮で見たことは無かったからてっきり無いんだと思っていた。 一般的には各家庭にあるという事ではなく、街の人が集まる広場だったり、大きな建物の壁だったり、そういったところに映像が映るものだった。そして、向こう側の世界のように液晶とかブラウン管とかではなく、何か石のようなものに映し出されるようになっていて、動力は電力ではなく魔道の力を増幅する何等かの装置で映像を映し出していた。それが街のあちこちにあって、何か話題のニュース的なものを一定の間流すという感じだった。 優斗はその時の映像を見てみたかったけれども、録画というのはなくて器械絵の画像のみ後程見ることが出来た。 (器械絵って……何だっけ?そうか写真か?) 器械絵というのはこちらの世界での写真だった。それを優斗は後程見る事ができた。それは紙ではなく薄いプラスチックの板のようなものに刷られていた。皇族関係はあまり器械絵を正式には残さない。何故ならこちらの世界では器械絵は品が無いと思われていて画家が描いた絵を残すのが主だったからだ。 だけど、今回はどうしても優斗が映像を観たがっていたのでランフィスが器械絵を何枚か撮っておくように手配しておいたものだった。 .

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