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公になる-4
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国では一大イベントでもある新しい皇とそのパートナーとの式典は、実際にはその場にいる事のできない一般の人々へその様子を陽の国の街中で映像中継され公開されていた。
姿を見ようと街のあちこちで映し出されるその映像の前に人が集まる。
その中には、あの娼楼のサンガ達もいた。
「ユウトはやはり……」
サンガが小さく呟いた。
(いや、ユウト"様"だ。探しに来た特別警察が来て、それに白い天馬にのっていた皇族と思う人の様子から明らかにユウト"様"は特別な何かだと感じた。あの天馬の人……あれがランフィス様だったのか)
とんでもない不敬を働いてしまったのだと、サンガは改めて焦っていた。冷や汗が出てくるというのはこの事を言うのだろうと。優斗が去ってから、優斗は恐らく皇族関係者かもしれないと思ってひやひや過ごしてはいた。念の為に従妹のナザイにもとりなしを頼んではみたものの。だけど特別咎もなく、逆に屋根の修理の料金とさらに別に大金を貰ってしまった。
これはユウトがランフィスに頼んだ結果であったがサンガはそれを知る由もなかった。
「新しい皇のパートナー様だったんだな」
医者のジンは映像を見ながら唸る。ジンはあの時感じた違和感がこれであったと今更ながら合点がいった。
(しかも異世界の人だ……)
不思議な雰囲気で他の者とは違う何かを持っていたのはその所為であったのかと思った。
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