272 / 379

再会とそれから-4

ランフィスは、イハクに"娼楼の上へ落ちた時にそこから助け出してくれた"と優斗から聞いていたし実際そうであったように思った。だけど、娼楼の"客"としてイハクがいたという事は、"何かあった"かもしれないともいえる。だけど今のこの二人のやりとりは、何もなかったかのように振る舞っている……いやむしろあまりにもよそよそしい。だから逆に"何かあった"のでは?とランフィスは勘ぐってしまう。 (これは嫉妬というものであるというのは分かっている) そして少しため息をつきそのままイハクに言葉を掛ける。そんなランフィスの様子にイハクは顔が強張ってた。 (緊張させてしまったな、いや、こういう場所ならそうなってしまうのは仕方がないのか?) 優斗の絵を描いてもらうだけだから自分はここにいてもあまり意味がない。だけどここで、彼らのみにさせるのはなんだか……。 (それが……浅ましさか) ランフィスは自嘲ぎみになる。 暫くして、ランフィスをよぶ侍従が来てその場を離れる事になった、後にはイハクと優斗のみである。 この皇宮にいる限りは、しかも、今の皇であるパートナーの優斗に対して、どうもできやしないのはランフィスにも分かり切っている。 イハクが少しヤナギを不思議そうに見ていた。二人だけではなく護衛としているヤナギがいて、彼は優斗のためなら真っ先に動くだろう。 (色々考えすぎだな…) 再びため息をつく。 .

ともだちにシェアしよう!