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再会とそれから-5

ランフィスは侍従に言われたまま、急いで執務室へ向かう。 前皇からの色々な執務が滞っていて暫くはとても忙しい。だからそちら側に集中しなければいけないが、また、別の事で頭を悩ます。 (代々の皇の記憶と記録の波は前皇は一体どうしていたのだ?) 前皇のバスティンにはもう会える事は出来ない。何をしまい込んで何を選んで出すべきか…前皇は選ぶものをとてもシンプルにしていたのだろう。 しかし、前皇と違っている事は。 (私にはユウトがパートナーであった事) それは向こう側の世界の人であること。前皇にとってはあまり重要ではないがランフィスには重要な意味をなす。 ――向こう側への扉を開く ランフィスは"これ"を知ってしまったからには、優斗にこれを伝えるべきかひたすら迷い悩む。 (戻るときは私と優斗の引き合いによってこちらへ戻ることは出来る) しかし、優斗はこちらへまた戻って来たいと思うのだろうか? だけど…… ……… ……… そして別の彼は。 彼は暗い部屋にいた。彼はとても後悔をしていた。 何故最初出会った時に"彼"を手に入れなかったのか。 彼はもう手に入れられないのか? "時期、風が変わります。時期を見誤らないようにしないといけません" 彼はそう言われたので今はひたすら待っているその時まで―― .

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