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妬心-1
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優斗はこれまでに、イハク以外の画家と面談をしてそれぞれに絵を描いてもらっていた。イハクの他に2人の画家が選ばれて同じく選考の対象にはなってはいたが、イハクと他の画家との違いは、他の画家たちは、優斗をじっと座らせてそのままスケッチをして描いていた。だけど、イハクは最初は優斗を座らせてスケッチはしていたが、しばらく経つと
「自由にいつも通りにして欲しい」
と言ってきた。
それで、優斗は、猫になったヤナギと遊んでいたり、本を読んだり、後は一緒にお茶を飲んでいて過ごしていた。
そのせいか、優斗はイハクとのほうが過ごしやすくて彼が皇城へ来て描く日がとても楽しみになっていた。さらに、イハクへは、他の人がいない時には特に敬語とか使わなくてもよいからとあらかじめ言っていたのでさらに気楽だったのもあった。
(ヤナギが獣人…本当は違うけど……であるという事はあまり公にはなってはいないけれども、別段言ってはいけないとか秘密にするとか言うような事ではないし……)
だから、優斗はヤナギに普通に人から猫になってもらっていた。最初はイハクはとても驚いていた。
「獣人……?だったのか?あんま獣人に出会ったことがなかったよ。そうか!だからか……」
なんだかイハクは一人で合点がいっているようだった。
「どうしたの?」
不思議に思った優斗が聞く。
「いや、まあちょっと体躯が普通の人と違う感じだったから」
「体躯?ああ、身体つき?そうなの?」
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