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妬心-2
絵を描く人だとそんなように見えるのだろうか?と優斗は思った。
イハクはヤナギが珍しかったのかヤナギも優斗と同じようにスケッチしていた。人の姿のヤナギと猫のヤナギと両方ともに。簡単なスケッチだったけれどもヤナギはその自分を描いた絵を見てとても感激して
「おお。これ俺?なの?……あ、なのですか?」
無理に敬語を使おうとしておかしくなっていた。とてもリラックスして楽しい時間を過ごしていた。だけど、優斗は、
(こんなんでイハクはきちんと絵を描いているの?)
心配になっていた。常にイハクは何か思いついた所でスケッチをしていたのはそうなのだけど、ただ、傍から見ると遊んでいるように見えてしまうのは確かだった。
時折ランフィスが様子を見に来る事もある。その際はヤナギがいち早く気配を察知して知らせてくれる。さすがに、ランフィスの前ではだらだらとしている姿は見せられないので、急いできちんと座り直してランフィスを迎えていた。
「なんだか学校で先生が来ると慌てて机にもどるかんじだよね……」
思わず優斗が呟いてしまう。
「なんだそれ?」
それを聞いたイハクが聞き返した。
「え。学校だよ?もしかしたら、こっちには学校ってないの?勉強とかってこっちの人はしないの?」
「勉強・・みな師匠……先生について教えてもらうな」
「家庭教師的な?」
「まあ金持ちはそういうの雇うけど、一般的には自分で習いたい先生の所へ行って教わる」
「師匠?おけいこごとみたい?向こうの世界では皆、6歳で学校っていうところにはいって一律に同じような勉強をさせられるんだ。まあ、これ俺がいた国。日本では、そう。他の国は違うかもだけど」
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