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妬心-3
「みんな?」
「そうみんな同じように」
「自分に向いてないやつはどうするんだ?」
「うーん。それは、やれるようにするんだよ・・別に塾とかの先生に習ってできるようになる?」
「先生に付いて勉強してるのに?さらに別にそのために他の先生にも付くとか?よくわかんないね。好きな事は出来ないの?俺はガキの頃から師匠の下に付いて絵を描いていたよ」
「うーーん。まあ、向こうの世界も好きな事は出来るんだけど・・。小さいころはそういう一般的な学校行ってからじゃないとだめなんだ。向こう側の世界……俺の居た国ではそうだった」
「ふーーん?なるべく早くから始めたほうがいいのもあるのになあ。まあ、向こう側の世界はよくわからないな」
そんな優斗とのやりとりの合間もイハクはずっとスケッチをしている。
そんな時、
「ああ、ランフィス様がやってくるようです」
ヤナギがランフィスの気配を感じて二人に言う。
優斗は用意してあるスツールに座って、イハクは同じくイーゼルとキャンバスの前へと行く。そこはスケッチを元にした優斗の姿が描かれていた。だけどそれは、今の座っている優斗ではなくて、緑の木々の木漏れ日の中で優しく微笑んでいる優斗だった。
「こんな場所に俺、行った?」
「優斗はこういう風に笑っているのがいいんだよ」
そんな会話を少ししていると時期にランフィスがやってきた。それまでの様子と違い、皆静かになる。ただそれまでの空気感をランフィスは感じ取って自分が来てその雰囲気が変わった事に少し不機嫌になっていた。
「普通にしていていいよ?」
ランフィスはそう言っていた。
(ここで言う普通っていうのはどういう事をしているのが普通のことなのかよくわからないんだけど?っていうか一番偉い人が来たらまあ、"普通"はこうなるよね?いつも通りな様子は絶対に無理だと思う)
「……うん。まあいつも通りだよ?」
優斗はそう答えるしかない。
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