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妬心-4
ランフィスは暫く傍の椅子に腰かけ、イハクと優斗を見ていた。そして、ふと立ち上がって、イハクの描いている優斗の姿を見てみた。
(これは、今の優斗ではない?うーーん?)
うなるランフィス
「今のユウトの様子じゃないね?」
思わずそう言うと
「いちばんいい様子のユウト様を元にして描いています」
そうしれっと答えるイハク。
「それだったら、ユウトと向かい合って描かなくてもよいんじゃないか?」
「……ユウト様の肌の色や髪色……実際に見ないとリアルには近づけられませんから」
また平然とイハクは答える。
「うーん……」
ランフィスは小さく唸る。
(こう見るとやはり、このイハクの描く絵は他の画家よりもユウトが生き生きと描かれている。この自然な感じは。他の誰にでも描けていないもの)
イハクの描く肖像画は他の画家と比べると型通りの描き方はしていない。人物を描く……というよりも、綺麗な風景を描く、その情景を描く……そんな感じがした。すべてが綺麗にすべてが整っている。そこに人物がいて際立っている。そんな描き方だった。
他の画家は、もちろんとても上手く綺麗に描いていたが、そういう描き方ではない。もちろんそれぞれに良さがあった。フォーマルを求めるのならば他の画家だろう。が、より、ユウトが生き生きと描かれているのは……。
(やはりイハクが専属の画家になるのがよいだろう)
ランフィスはそう思ったが、だけど、
(だけど、これは、この生き生きとした表情をイハクに描けるのは、優斗がイハクにだけはそういう表情をしていた。という事だろうか……)
他の画家が描く時に何度か同じように見ていたが、こんな雰囲気ではなかった。あきらかな違いがある。
他とは違う優斗が描けるのは、イハクの才能もあったけれども、やはり、他の画家には見せないような表情を優斗が出しているというのもあるだろう。
(これは……)
ランフィスの心の中がざわつく。
やはり、あの二人は……何かあったとしか思えなくなる。
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