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衝動-2

優斗はランフィスの不穏な雰囲気を感じ取っていて、ランフィスが部屋を去った後にも気になって仕方がなかった。イハクが帰った後にそっとランフィスの執務室へ顔を出す事にした。 静かに仕事をしているランフィスは何の変化もないように見えた。 「ランフィス?」 優斗が声を掛けてみるが、 「……今は少し手が離せないから、何かあるのなら後にして欲しい」 と、ランフィスは素っ気なく返事をする。やはり忙しいのだなと思った優斗は邪魔にならないようにそっと執務室を出る。 ランフィスは相変わらず忙しい。皇になってからもさらに、もっと忙しくなった。 最近では一緒に食事もとれなくなってしまった。 ……… ……… (……今日も遅いのだろうな) 夕の食事を終えた優斗は部屋で一人でいた。今日もランフィスと食事を一緒に取れなかった。最近は本当に忙しそうだ。 本来なら正式な皇のパートナーとなった今は、自分の部屋を持っているのだれども、以前と変わらずランフィスの部屋ですごしている。これはランフィスが忙しくなかなか優斗と会えないからという理由とより安全の為でもあったが。安全面ではすでに護衛のヤナギもいることだからそんなに心配をすることもなくなったが……。 優斗がいつものようにソファーでのんびりとくつろいでいると、遅い時間になってからやっとランフィスが部屋に帰って来た。 「ランフィスおかえり!お疲れさま」 優斗は立ち上がってにこにこしながらランフィスに駆け寄った。 「……ああ……」 だけど、短く返事をしたまま黙って動かなかった。いつもだったなら優斗が駆け寄ってむかえれば優しく抱きしめていたのに。 .

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