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向こう側へ-1
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"向こう側の世界へ行く方法がある"
優斗がそれを聞いたのは3日前の事。
(ランフィスは俺にその事を言わなくてもよかったはずなのに。話してくれた……。俺を信じてくれているんだ……とても嬉しかった。だけど……)
優斗はすぐに返事が出来なかった。
(……俺はもちろんこちら側へ戻るに決まってるしそう思っている。それは当たり前なんだけど。だけど、向こう側の世界へ帰っていったら、俺はこちら側へ戻ろうと思うだろうか……?)
両親にもう一度会ったなら。
(もしかしたら"こちら側へは帰りたく"ないと思ってしまうかもしれない。もう戻るのは嫌だと……)
優斗には、自分がその時どうなるのかわからなかった。
だけど、ランフィスは自分を信じていてくれている。それに、こちら側の世界は気の力で成り立つ世界だ。保つのには優斗とランフィスが生み出す気の力でしかない。
もしも、優斗がこちら側へ戻らなったならば……。
優斗は以前、ビィからこちら側の世界になんらかの事が起これば向こう側の世界も影響があると聞いていた。
(本当にそうなんだろうか?)
優斗は陽と闇の国のように互いにはっきりとリンクをするということはないのではないかと感じていた。それは、今でも、落ち人という者が"いる"という事はなんらかの干渉があるには違いないが、互いの世界での引き合いが無くなってしまった今では、こちら側の世界と向こう側の世界がとても離れてしまっているからだ。
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