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向こう側へ-3
「だから、俺と二人だけだったなら、敬語とかいいよ?っていうかもう言葉変だからやめて」
「そんなに変かなぁ…?」
ヤナギは納得できない様子だった。
「だけど、未だに猫の姿でうろうろするのはどうなの?」
「まあ、たまに。たまにやってるだけだよ?あ、ビィには内緒。怒られるから」
ヤナギは悪びれた様子もなくそう言った。
……
……
バスティンとレイアは皇城のはずれにある宮でひっそりと忘れ去られたようにすごしているらしい。
「俺がそこへ行って勝手に会ってもよいのだろうか……?」
「会いたいの?」
「うーん。ちょっと話してみたくて」
「そっか、ユウトは猫になれないし。そっと会いに行くってできないよねえ?でも、大丈夫なんじゃないの?だって、今や、ユウトはランフィス様の次に偉い人になってるし、遠慮しなくても平気じゃない?」
「偉い人……って」
その言い方にものすごく違和感がある優斗だった。だけど、ランフィスのパートナーである自分の立場を優斗自身はあまり考えたことがなかったのに気が付いた。
(……"そういうこと"なんだよね。…それなら、勝手に会ってもかまわないってことでいいのだろうか……?)
"だったら……"
……………
…………
……
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