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向こう側へ-4
………
…
「それで……あなたはどうしたいのですか?」
「……え?えと、だからその・・」
「あなたはもう自分で決めているはずですよ?」
バスティンはそう優しく言って優斗をじっと見つめた。
……
……
バスティンがレイアとともにいる宮は本当に皇宮のはずれにあった。
優斗は思い切ってそこへバスティンを訪ねて行った。
いきなり相談というのもおかしい話だけれども、皇でしか知りえないこの話を相談できるのは最早、ランフィス以外では前の皇のバスティンしかいない。
気の力を出すことが出来なくなった前の皇はその恩恵を受けなくなった所為か以前よりもかなり年老いているように見えた。
優斗は、実際会ってからどう話していいか分からなくなってしまったが、少しづつ自分の思っていることを話した後、それを受けてのバスティンの答えが………。
それが先の会話になる。
「自分で分かっている?」
優斗はバスティンにそう言われてそのまま同じように聞き返した。
「もちろん、私たち側からいえば、あなたが、向こう側へ行ってもし戻ってこなかったらこの世界はどうなるのか?というのはそうなんですが。ここで私が何を言っても、あなたはもうすでに答えを持っている。だけど、私に話すことで、自分の思いを固める事ができたのではないでしょうか?」
そう言われると
(……何もかもなんだかバレてる?)
優斗が誰かに話すことで考えをまとめたいってことが丸わかりだったようだ。
「……・・それは・・」
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