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向こう側へ2-1
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それが行うことが出来るのは何度もなく
それは最も月が大きく見える時の
"今日 "
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優斗はバスティンの元へ訪れてからすぐに、ランフィスに自分の意思を言った。
「ランフィスが俺を信じてくれるのなら、俺は一度向こう側へ戻りたい。だけど絶対にこちら側へ帰る」
優斗は"向こう側へ帰る"のではなく。こちら側へ帰ると言いきった。
(今の俺の居る場所はここだから)
それから、暫くしてから"その日"が来ることとなった。
ランフィスはその日が間近に来る事がわかって、優斗に向こう側へと行ける術があることを伝えた。それは、大きな月が見えるのは年に何度もなく、その機会はあまりなかったからだ。間近にその日が来る事が分かったから、優斗には伝えなければと思ったのだった。
しかも、"その日"は、何年かに稀に来るという最も大きな満月となる珍しい日であった。
夜にその大きな満月となるという日となり、いよいよと思っていた優斗だったが、昼すぎから雨が降り出してしまった。気の力が落ち着き平穏となって、突然の天気の変化は最近では殆どないはずだった。だけど、
「今日に雨だなんて……」
優斗は空を見上げてため息をついた。護衛として傍に控えているヤナギはそんな優斗を見ながら不思議そうにしていた。
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