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向こう側へ2-4
祈りの宮は皇城のはずれにあった。
(堂宇って何だと思ったけど・・?お堂?ってこと?)
古い建物は月に照らされて白く浮かび上がっていた。雨も風も止まり優斗は周りの静寂に少し怖くなった。建物の中へ入ると、さらにしんと静かで、ただただ二人の歩く音のみが響いていた。
(ズボンとシャツに着替えて来てよかった。歩きやすい。裾の長いチェニック?みたいなやつは足がもたついていやだったし)
向こう側へ行く事になって、優斗はランフィスが用意したズボンとシャツに着替えた。ランフィスが向こう側へ行くのにはこちら側の服では可笑しいだろうと用意してくれていたもので、優斗が向こう側から来た時に着ていた学校の制服に似た形のものだった。
(制服は、ギオに破かれてしまったんだよな……)
優斗はあの時の事を思い出すだけでぞっとしてきた。破かれたので、できるかぎり似たような形に作りなおして貰ったものだった。
(微妙に形と布も違うけど、こちら側のだらんとした服よりかはよっぽどいい。向こう側へいってもおかしくない)
……
……
地下への階段を静かに降りると、とても綺麗な透明な水を部屋いっぱいに湛えた泉が見えて来た。
波ひとつなく、しんとしずまっている水面は鏡のように見えた。その泉の真上をみると、ずっと上へ上へと高く吹き抜けていて空が見えた。そこから射す月の光が泉の水面へ反射してキラキラと明るく光り、白い漆喰のような壁へ映りあたりがぼんやりと輝いていた。
優斗とランフィスがその傍へ近づくと、今まで静かだった水面にどこからか風が吹き込み、ざわざわと騒めいた。
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