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現(うつつ)-7
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病院の屋上の庭園へ下弦の月へ呼ばれていったかのように行った優斗は、大量の水を吐き出したその場に倒れこんで気を失った。
吐きだした水は、彼の泉のものであった。水が、記憶を遮っていたのだろうか。その水を吐き出したとたんに、優斗の頭の中へ様々な記憶の渦がどっと湧きあがってきた。それは、圧縮ファイルを解凍したように頭の中へ展開していった。
(……そうか。だから俺はここに戻った……)
そう気が付いて優斗はぱっと目を見開いた。どのぐらいの時間、倒れていたのか?まだ夜は続いていたけれども、真上に下弦の月が輝いていた。優斗は起き上がろうとしたが、だけど立ち上がることはできなくて、その場に座り込んでしまった。
(ここは向こう側の世界…。俺のいた世界だった所……)
優斗はすべてを思い出した。
(この世界に来たかったのは……会えることはないと思っていた父親と母親に会いたかったから。何も伝えずに行ってしまったから)
──だから
屋上の庭園の地面に座り込んだまま考える。そして、思い出したことにより、ランフィスのいる場所へ帰らなければという思いが沸き上がる。
(戻りたいと思っていたのにだけど、いざ来たら、ランフィスの所へ"帰りたい"と思うのは……)
優斗は己自信をなんて自分勝手なんだろうと思った。
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