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逢魔が時-2

「……そう思ってしまうのはしょうがないと思う」 実際自分も同じ事を聞いたのならそう思ってしまうだろうと優斗は思った。 「……だけど事実なんだ」 そういう反応は想定ずみであった。だけど……優斗にはそれを事実とどうやって証明していいかわからない。ただ優斗にとっての真実を話すしかなかった。 「ではその話が本当の事だったとして、お前はまた向こう側とやらへ行っていなくなってしまうのか?」 優斗は静かに頷く。 「本来なら、向こう側へ行ってしまった俺は、もうこちら側へ戻って来るのは出来ないと思っていたんだ。事実そう言われていたし、向こう側の人はその(すべ)を知らなかった」 そして優斗はランフィスにこちら側へ戻る方法があると言われた時の事を話す。 「それは、ランフィスが皇の記憶を受け継いだ事でそれがわかったんだ……。皇のみが知り得る方法だった。ランフィスは俺に、こちらへ戻る方法があるということを言わなくてもよかったんだ。そう。言わなくって俺に内緒にしてればそれで良かったんだよ。でも、ランフィスは俺がこちら側の事をずっとずっと思っていることを知っていたから。それをとても気にかけていたんだよ……。だから、話してくれた。俺が二度とランフィスのいる所へ帰ってくるという保証もないのに。だけど、俺を信じてくれた。信じてくれたランフィスの為にもそれと、向こう側の世界の人の為にも俺は"帰る"んだよ」 それは、自分への誓いのように優斗は一気に話した。 .

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