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逢魔が時-4

声を聞いたということは、印が引き合っているということ…… (あれはランフィスが自分を呼ぶ声であったはず。だったら、呼べば答えてくれる?俺はランフィスを感じている……?) 優斗は、静かに目を閉じた。 両親の声もどこか遠くになり、わずかに感じる”細いつながり”細い細い糸のような、それを大切に大切に切れないようにたぐりよせる。 するといきなりぱっとランフィスのイメージが目の前に来る感じがした。 ふわふわと霞のようなものが広がるような……そっと優斗が目を開くと。まるでそこだけ景色が変わったように"いる" 白い霧に溶けるように立つ銀の髪の……。 "……ランフィス……?" まるでそこだけが世界が変わって、そこだけが時間(とき)が止まっているように……ランフィスがいた。 ここは病院の談話室で、父親も母親もいるはずなのに、だけど、ここには優斗とランフィスしかいないような……。 "ユウト" 自分を呼ぶランフィスを優斗はしばらくぼんやり見ていた。ゆっくりと白い霞が消えて、最初出会った時と同じ様な淡い水色のマントに、剣。銀の髪と澄んだ紫の瞳をした、ランフィスの姿がはっきりと見える。 そしてやっと優斗は口を開く。 "……ほんとにランフィス?こちらの世界に来た……の?" ランフィスは優しく微笑む。 "……そうだよ?よかった。ユウトに会えて。印は消えなかったんだ……" ランフィスがそっと優斗へ手を差し伸べた。 だけど、優斗がその手を掴もうとしたその時に、遮るように他からくる黒い闇のような影が来た。と、思うとランフィスではない違う手が優斗の方へ伸びた。 "今度こそユウトを貰う……" その影が笑った。 .

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