316 / 379

逢魔が時-6

ランフィスの存在、ギオの存在。そしてギオが煙のように消えてしまった事……。それら何もかもがわからなくてただただ愕然としていた。 その優斗の両親に、ランフィスは静かに向き合ってから頭を下げる。 「いきなりの事で申し訳ありません。ユウトのご両親ですね。私はランフィス・ラ・エリオールと申します……。私は、あなた方の世界で言えば、向こう側の世界の者です。俗的な言い方でしたなら異世界、と言えば良いでしょうか?……私はそこの陽の国の皇です。そして、ユウトは私のパートナーです。せっかくユウトがこちらの世界へと戻られたのですが、私の元へすぐ帰って頂くことになりそうです……」 ランフィスは、はっきりときちんとした発音の"こちらの世界の言葉"……日本語で話した。 「え?こっちの世界の言葉?にほんご?話せるの…?」 驚く優斗にランフィスは優しくクスっと笑って、 「かつてこちらに行き来していた頃に使っていた魔道で作った護符を持っていると大丈夫なんだよ」 軽くさらっと説明した。そして、続けて優斗へ 「ギオがユウトを追ってきたと知って、ユウトが危険だと思ってすぐ私も、こちらへ来ることにした。一刻も早くユウトを安全な場所へと来てほしくて」 そう言った。 安全な場所イコール向こう側の陽の国へ帰る事……。 優斗の両親は今起こった事をどう理解していいか困惑していた。その中で父親はそれを事実と受け止めつつやっと口を開いた。 「……今起こった事、これを本当の出来事と他の誰かに話したところで誰も信じてはくれないだろうが、でも、実際にはあなたは存在して、こうして話しているのが事実。……だけど、これから、私達はどうしたらいいのか……」 すると、ランフィスは掌の中へ入るぐらいの石を傍にある机の上へ置いた。それは琥珀色できらきら輝いていてまるで宝石のようだった。 「これは……?」 綺麗なものなので母親が思わず手にとりそうになったが父親に止められる。 .

ともだちにシェアしよう!