317 / 379
逢魔が時-7
「これは、記録したものを映し出す石です。陽の国の様子と、ユウトの陽の国で私のパートナーとなった時の正式な儀の様子も記録され映し出されます。これで少しでもユウトの向こうでの事がわかればと思います」
ランフィスがそっとその石の上へ手を触れると石の上へまるでそこに画面があるかのように映像が浮かび上がった。
「何?これ?静止画じゃなくって・・・。動画?録画?ってできてたの?」
それを見た優斗が驚いているのを、ランフィスは少し微笑んだ。
「これは特殊なものなんだ」
こういうものがあったのならば、もう一度即位の式を見て見たいのになと思った優斗だった。
そして、ランフィスは優斗の両親へ向かい直ってから改めて2人に頭を下げる。その銀の髪がさらっと波うっていて、完璧なほどの綺麗なCGめいた見目のランフィスの存在は、この病院の談話室にはあまりにも不釣り合いで不思議な感じだった。
「急ぎユウトを迎えにきたのには、ユウトの身が危険だったからです。先ほど来たアレは我々の国と対立する国の者です。誰も知らせずにユウトはこちらへ来たはずなのにどうやって知ったのか、アレはその痕跡を追ってきました。かつて彼は、有り得ない方法でユウトを一度拐いました」
「拐った?拐われたの?」
母親が聞き返すと、優斗は静かに頷く。
「思い出したくないけど…」
優斗にとってそれは、怖かったしそれに…思い出すと辛い出来事だ。
そして、ランフィスは続けて話す。
「陽の国の中へといれば結界もあり安全です。ユウトは大切な私の唯一無二の方です。だけどそれは、陽の国の為の。ではなく、ユウトがこの私にとって必要なのは、それはユウトをとても
"愛しているから"
離れてはいられない……」
そう言って、優斗の唇に口づけた。両親の目の前で。
"………え……ちょ"
と優斗が吃驚している間にランフィスはそのまま優斗とともに再び白い白い霞のような霧がたちのぼり…優斗の両親の目の前から消えた。
………
……
ともだちにシェアしよう!