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逢魔が時-9
石のすぐ上の空間に四角く画面が浮かび上がり、そこへ映像が映し出された。まるでファンタジーかSF映画みたいな映像だった。
いきなり出て来たソレに、母親はうわっというような声をだす。ソファーにいた父親が思わず振り返った。
「それは?なんだ?」
「あの石からの映像よ?」
父親は立ち上がり傍で良く見ようとした。
そこには、向こう側の世界の様子が綺麗に映し出されていた。
とても綺麗なこちらにいた時とまるで違う様子の優斗と、それにもまして、あのランフィスの姿は煌びやかでとても美麗でまるで絵のようだった。
それは、ランフィスの即位の時と、優斗のパートーナーのお披露目の時の様子であった。2人ともとても輝くばかりに美しく綺麗で、現実とはおもえなかった。そして、2人を祝う人々の様子も映し出されていて、彼ら彼女らは皆、とても嬉しそうで幸福そうであった。
「優斗はここで幸せに暮らしているってことなんですね」
「まるで、おとぎばなしみたいだ」
「いつまでもいつまでも幸せにくらしました。となればいいですが…」
「優斗の話だと、この国では気の力というのが大事になると言っていたな……それを、生みだすことができるのは、皇とその印 とやらが現れた選ばれたパートナーのみということだった。優斗がその選ばれたパートナーで。…だけど、パートナーというのは……」
父親は少しいいづらそうで
「……まあ、そういうことですよ」
母親はしれっといった。
「そうか……」
父親はそう言って黙った。
2人ともそれぞれ色々思慮をめぐらす。だけど、2人とも"それで優斗が幸せならばいい"と、思っている事は同じだった。
…………
…
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