325 / 379

帰還-2

…… ……… ………… 祈りの宮が、いきなりの旋風で崩れたのは、優斗が向こう側へ行ったすぐ後のことだった。 ランフィスが皇宮へ戻ってから、しばらくした後に突然、すごい地響きがした。それが、突発的な大きな旋風で祈りの宮が崩れた音であった。突然なことでランフィスには、それが、何であるかわからなかった。 「何が起こった?」 ランフィスが驚いて窓から外を見たが見えなかった。 「ランフィス様!今、突発的な竜巻?旋風で皇宮のはずれにある建物が倒壊したようです」 暫くすると、侍従がランフィスへ事態の報告へやって来た。 「建物……?」 「おそらくはずれにある、あまり使われていない祈りの宮だと思われます」 「……祈りの宮……だと?」 祈りの宮。あの場所が崩れても、恐らく、誰も気にはしない。だけど、あの奥にある泉は今ある唯一の向こう側へ行ける道。引き合いによる行き来が皆無になった今となってはあれのみが行ける(すべ)であった。 (印による引き合いのある私は、泉での行き来が出来なくてもユウトの元へ行けるが。だが……。何か起こった時に泉が無くなれば向こう側へ行けることが出来なくなる……) そしてすぐに、ビィがやってきた。 「闇の国からの竜巻がこちらへ来たようです」 「竜巻?」 天候のこれ程までの変動は優斗との気の力のおかげで殆どなかった。まして、竜巻となると…。 「闇の国からの何らかの干渉があったのか?結界は?」 「自然発生的な天候のものでしたなら結界は反応しません。今回のものは闇の国からの竜巻がこちらへ向かった後、陽の国へ入る手前でいきなり消えました。そして突如、皇宮のはずれにある祈りの宮の辺りに旋風が起こって、祈りの宮を倒壊させました。ただ、これは、自然なものなのかそれとも魔道による人為的なものなか・・」 「わからないのか?」 「今のところは。今調査中です」 ……… ……

ともだちにシェアしよう!