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帰還-10

ヤナギは優斗を誰にも会わないように部屋へ送った。だから、いなくなった優斗が突然、戻って来ていても誰にも騒がれてはいない。 「でも、ランフィスを助ける方法を、ビィと考えないと……」 焦る優斗にヤナギは、 「うーん……。たしか向こう側って時間の流れがこっちと違うんだよね?だったら急いでも急がなくても、遅くなる時は遅くなるし早くなる時早くなるんだよね?だったら、ゆっくりしてもあわてても同じでしょ?……それにランフィス様はきっと大丈夫だよ?」 そんな事を言った。 「でも……・・・」 「いいから……その顔色がよくなるまで寝たほうがいいよ?」 ヤナギは無理やりにでも部屋の中の寝室へ優斗を押し込む。 「俺はユウトの部屋の前にいるからね。何かあったら言ってね」 ヤナギは護衛だからそうなのだけれども、部屋の前に居られてはビィの所へもいけない。そんなやりとりをしていて、とりあえず、ベッドに横になろうとしてみたが、優斗はランフィスを呼んで見ようと、思いついた。 (そうだ、俺から呼べばいいのかも?) 崩れてしまった祈りの宮、その奥にある泉までも埋もれてしまっただろうか? もしかして、呼ぶ時は祈りの宮の泉の上がいいのだろうか? ……何故祈りの宮が崩れたのだろう? 向こう側へ行っているランフィスを今すぐ感じる事は出来るだろうか? "今、すぐ呼べる?呼ぶ声、こちらから呼ぶ" 優斗はそっと目を閉じてランフィスをとらえようと集中してみた。 ………… …… … .

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