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夢見-2

ジマはあまりこういったものには興味もなかった。普段なら、呪物をコレクションしている知人を紹介して引き取ってもらうのが常だった。だが、この書物には何故か興味を持った。 呪いを祓うということは出来ないが、少しこの書物を見て見たいという気になった。 そして、ジマが、それを見た時に感じたのは得体のしれない不可解な感覚だった。 これは、呪いではないとその時にはっきりと分かった。何故ならそれには黒い物が付いていなかったからだ。 ジマには霊感というのはない。だけど、それが悪い物かどうかは、見ればわかった。 もし、悪いものだったならそれは黒い靄が掛かっていたからだ。それを悪意というならそうなのだろう。呪いというものは悪意の塊のようなものだからだ。 そういったものはなかった。だけど、これには、何らかの思いが付いていた。 それは、所謂"封印"というものだと感じた。 封印があまりにも強すぎて触れるものに不調をもたらしていたのだろう。 これを解くにはそれ以上の力を籠めて、封印を壊すしかない。 ジマは自分にはその能力がある。そしてこれを解くことが出来ると分かった。 ───そう、力を籠める。 そのやり方の説明は出来ないが、ただ、ジマには知らず出来ていた。 額の真ん中にその力を込めて。 "開放"と"解錠" する。 そしてその封印が解ける。 それが、読めない文字が書かれているこの書物だった。 …… …… .

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