342 / 379
夢見-4
彼は少し考え込むようにしていたが、
「呪術……。魔導士なようなものですか?」
そう聞いて来た。
「魔導士?そうです魔導士、魔法使い……厳密には違いますけれども西洋の魔法使いなようなものでしょうか」
そんな会話をしていたが、その書物をどんどんバレスは読み進めていた。
「これは、きっと私が探し求めていた人が書いたものでしょう……」
急にそんなことを言い出した。
「だけど、この書物は千年前のものですよ?大昔ではないですか?」
ジマはあまりにも大昔すぎると否定したが、バレスはにっこりわらって、
「おそらく彼はその時代に飛んだのでしょう。私もその時代へ飛ぶべきだった」
そう言ったが、ジマには全くわけがわからないことだった。
彼が本当のことを言っているのか、嘘なのかは、 確かめようがない。だけど、ただ、口から出任せを言っているのではないと言うことは分かった。
それがハッキリと分かったのは、何度、同じ場所を読んでもらっても、同じことを言っていた事と、
文章的に可笑しい所もなく、はっきりと文字を読んでいると分かる所作であったからだ。何処をどう見てもしっかりと読んでいる。これで、読めているふりをしている、出鱈目を言っているとしたら、よっぽど演技が上手いか、話しの上手い記憶力がものすごく良い人だ。そんなどちらも出来る人なんて稀だろうとジマは思った。
「これは、私達の国での、神に頂いたものについて書かれています」
バレスが読みながらそんな事を言った。
「神に頂いたもの?とは何でしょうか?」
「それは、互いがわかる印 です。彼は腕についていた。 私は首の後ろについています」
「印 とは何ですか?」
「私達の世界での国では、印を頂いたもの同士が国を治めていくのです」
「………え?ではあなたは、国を治めてる?方?」
ジマは驚いて聞いた。しかし、バレスはそれには答えない。そして、
「印 をあなたにも見る事が出来ればよいのですが」
そう言った。
.
ともだちにシェアしよう!