344 / 379

業-1

…… ………… ジマは風が変わる運命の時であるとギオに告げた。それと同時に、陽の国に潜入させていた密偵から優斗が向こう側へ行ったという情報を得る。 それが合図のようだった。 そして、ギオは自身が風を身にまとい向こう側へと跳んだ。 優斗の跳んだ跡の痕跡を手繰る事は、ギオにとってそんなに難しいことではなかった。 向こう側へ行く道はその優斗の痕跡によってそれが道しるべとなって向こう側へ跳ぶ。だけど、印での引き合いではないので、その痕跡をすぐに追わないと分からなくなる。 ……痕跡が消えれば、追えなくなり、向こう側からこちら側への帰りも危うい。 ……… ……… ギオとランフィスは同じ年、同じ月日の生まれであった。 陽の国、闇の国と同時に皇子が生まれたという事は、とても珍しいことではあったけれども、過去には無くはなかった。ただ、ギオとランフィスはさらにほぼ同時刻に生まれていた。 それは、本当に(まれ)なことで過去にそんな記録は今までにはない。だから、が起こる事を誰も予測はできなかった。 陽の国の皇とそのパートナーに現れる(しるし)に対する反応が、同じように、ギオにも起こっていた。 ただ、実際に印を持っているわけではないので、微量な反応。 印同士が引き合うような、互いをどうしても欲してしまう呼応ではなく。 だけど、惹かれ、魅せられてしまっていた。 ……それが、陽の国と闇の国の表裏一体のある種の呪いである。 その事に気が付いたのはジマであった。 .

ともだちにシェアしよう!