345 / 379
業-2
ジマは、ギオが印が無いのにも関わらず、その印の影響を受けているようだ。と、誰よりも早く気が付いていた。
ただ、ギオに対してそれを指摘する事なく来たのは、これを言ってしまったのならば、なお一層ギオは優斗を躍起になって求めてしまうだろうと思われたからだ。
だが、ギオも、それを薄々ながら気が付いていた。何故、自分はこれほどまでに優斗に惹かれるのか?と。
最初は、自分に特別な力が欲しかったからただ優斗を求めてはいたが。だが、それとは違うことに気が付いていた。
それは、印がある者同士の引き合いと同じようなもの。
ただギオはそれを認めたくはなかった。
「それでは、ランフィスと同じになる。あいつはただただ印を持つユウトが欲しいだけだ」
そう思っていた。
だが、ランフィスは、最早それだけではない、という事は分かっている。
………
………
ギオが向こう側へ行く事をジマは止める事は出来なかった。それほどまでにギオは優斗に惹かれていたからだ。
向こう側へ行く事。ユウトの痕跡があるうちにすぐ飛ぶこと。それはとても危ういが、だけど、夢で視たあの泉がそれを打破できるとジマは確信していた。
向こう側で自分が占い師としていたときに会った、陽の国の王子のバレス。
彼が読み解いたあの"書物"
「あれこそビィ様が向こう側へ行ったときに書いたもの……」
そこにははっきりと、ビィが印を持っていたこと、そして、印が消えた事、その消えた理由が書いてあった。
その理由のひとつに
───向こう側へ飛ばされた事。
それがあるからだ。
.
ともだちにシェアしよう!