346 / 379

業-3

「今回の事で、ユウト様の印を消す事になる可能性がある。そうすればギオ様への影響もなくなる」 ジマはそう思っていた。 書物にはビィが落ち人となって向こう側へ落ちて行きおそらく、その所為で仮死状態になり記憶が無くなった事。 とあった。 だが、今回は優斗の意思で向こう側へ跳んだ。 その違いはあった。 「ギオ様には、その印の影響を早く取り除けなければいけない……」 それは、彼には、闇の国の次の皇となるべくもの。それが、陽の国の皇のパートナーに邪念をもつことは絶対にあってはならない。 「それが、ギオ様の弱みになってしまうから……」 もし、今後、陽の国からの何等かの理不尽な要求があった場合。彼は、それをユウトからの要望ならば、受け入れてしまう可能性だってある。 そんなことは今のランフィスと優斗ならばしないとは思うが、 「国と国の関係は状況が変われば変わる。そんな危うい感情は失くしてしまうのが一番だ……」 ジマはそう思った。 前、レンを使っての優斗の拉致は失敗に終わった。あの時、ただ単に仮死状態にしただけであった。それでも、印は消えなかった。 その時、ギオは優斗の印が無くなれば、優斗自体を容易く手に入れる事が出来ると思っていたのだったが、ジマは、逆にその印を無くせば「ギオが優斗に執着することも無くなる」と思っていた。 ……… ………

ともだちにシェアしよう!