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帰郷-1
……
………
『ランフィス……』
ランフィスとギオが時空の歪みのさらに奥の狭間へ落ちて行く時に聞こえた声。
ランフィスは思わずその声の方向へ手を伸ばした。
そこに、誰かの手がぐっと掴んだ。その手を掴み必死に上へ上へと行く・・・・。
下は見ない。ギオはもうはるか下のほうにいた。
それは水の中から、溺れそうになりながらもがくように這い上がってくる感覚に似ていた。
そして、やっとその水面へ上がったと思ったら、突然、天地がひっくり返ったような感覚になり、くるんと回って、上へ落ちる?
(上に落ちた……?)
ランフィスは驚いて何が起こったか分からなかった。
だけど、気が付くと硬い地面と思われたそこは柔らかくそして、
「ランフィス!!!」
はっきりと聞こえるのは優斗の声だった。
気が付けばランフィスの目の前には優斗がいた。
「ユウト?本当にユウト?」
優斗はランフィスに思い切り抱き着いていた。
「ユウトだよ!!ランフィス!!!よかった!!!」
ぐっと抱きしめている優斗の声。
何が起こっていたのかいまいちわかっていないランフィスが次第に落ち着いてくると
「ここは・・・・。」
そこは、柔らかい何かの上。
「ここは、俺の部屋だよ?」
ランフィスが落ち着いてみるとここは、優斗の寝室で、そして、優斗のベッドの上だった。
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