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帰郷-3

優斗とランフィスも吃驚してドアの方を振り返って見る。 「あ・・あの・・いや。あの・・あ。ごめんなさい……」 (……あ。これはやばいって。これは、あれだ。あれ。2人のあれをアレだ。うん) ヤナギの心の中が修羅場になっていた。動揺して何を言っていいか分からない。 「いや、ヤナギ・・ちょっと」 優斗が言うも、ヤナギは慌てたようにドアとばたんと閉めた。 と思ったら、暫くすると、また、ヤナギはドアを乱暴に開けて入って来た。 「ちがーう!!なんで?なんで?ランフィス様がいるの……?です?」 動揺のあまり敬語がめちゃくちゃなヤナギだった。 「私は、ユウトとの印の呼応で向こう側からこちら側へ戻って来たんだ」 ランフィスは、ヤナギの砕けた口調にも気にしていないようで、優しく言った。 「ごめん。心配させて。早くランフィスをこちらへ戻したかったから……」 優斗は焦る気持ちで、ここでランフィスを呼んだ。それで印の呼応は応えたのだ。 「ここで?ですか?」 不思議そうに聞くヤナギ。 「そう、ここで」 「そう?なんですか?」 解せない様子でもう一度聞き返した。 「……そうなんだよ。うん。私も何だか不思議だったんだけどね。優斗はここで私を呼んでくれたんだ」 ランフィスも何故かそれに同調していた。 「え?それってどういうこと?印の呼応で呼ぶのって…違うの?」 「そうなんだけど、向こう側とこちら側でのやりとりはあまりできない。より集中するのには、祈りの櫓で行うのが良いとされているんだ。だから、例えば相手が何処にいるか分からない、自らのパートナーを探す時などは、祈りの櫓で執り行ったから……」 「そう……なの?」 (そうか、だからこっちに戻って来たランフィスが、少し戸惑っていたのは、ベッドの上にいたことだったのか……) 優斗は少し焦ったが、だけど、 「ランフィスが、こちらへ戻ってこれたのだからどこだっていいじゃない?」 そう言い返した。 ……… ………

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