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一時の安らぎ-1
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そして、ジマが泉を介して向こう側へ行く少し前の
優斗が、まだジマにギオの事を伝えてはいないその頃。
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優斗は昨夜ランフィスが戻って来て、緊張が解けたのかふっと気が抜けたようになっていた。目覚めたのは遅く、朝にしては遅すぎる時間であった。
自分がここにいる安心感とそして、ランフィスもいる安心感。そのまま疲れも出たのか眠り込んでしまったようであった。
だけど、ランフィスがずっと抱きしめてくれていたのは分かっていて、
「ランフィス……ありがとう」
そう呟いたのは覚えていた。
向こう側とこちら側の時間の流れが違っていて、こちら側では優斗がここを離れてそんなに日は経ってはいないようだった。
ただ、向こう側の時間では、ほぼ半月以上の月日が経っていて、優斗にはとても長かった。
(父さんと母さんに会えたのはとても嬉しかったんだよ。だけど……ランフィスにすごく)
"会いたかった”
優斗はずっと思っていた。
だから、ランフィスが向こう側へ来た時は驚いたしそれに、すごく嬉しいって思った。
それは両親に会えた時よりも……。
そんな事を思うのはだめなことなのかもしれない。
"でもね、そう思っちゃったんだ"
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