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降る-1
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それは、陽の国、そして闇の国、大陸全体に及ぶものだった。
その夜は、ランフィスは侍従に呼ばれてすぐさまその被害状況の対応に忙しくなった。
そして翌朝。
その惨状を優斗も知る事となった。
「陽の国と闇の国の間の地面が大きく陥没したようになっている??」
侍女達がとても騒がしくしている。優斗のいる皇城からは全くその惨状は分からないけれども、だけど、何か様子がおかしいのは分かった。
いつも遠目に見える森。暗くて不気味な、だけどそこかしこの木々が倒れて、燃えていた。
まるで、何かの爆撃になったようだった。
「最初、すごい音が聞こえたのがこれだったのか」
それは、地面を陥没させて、まるで、そこに元々何もなかったかのように、ぽっかりと大きな穴があいているという。
国境付近とはいえその殆どは闇の国の領土にかかるものだった。
その大きさはどのぐらいだろうか。
(よく、隕石自体は大きくなくても、空からの高さから落ちれば、地面に落ちた時の衝撃は大きいとか聞くよね、隕石自体はそんなに大きくなかったのかも?だって大きなものだったなら、陽の国も闇の国もふっとんでるかもしれない。この大陸が無くなってたかも?そんな事にならなくてよかった)
そう優斗は思う。
そして、皇宮のはずれにある「祈りの宮」もその被害に会った。
祈りの宮はその下に、向こう側へ繋がる道がある水を湛える泉がある。
だけど、その泉もろともすべて隕石によって、まるで爆撃にあったかのように燃えてしまった。
その燃え尽きた瓦礫の下に泉があったことも分からないぐらいに。
それを優斗は知る事になった。
(これで、向こう側へいく術はもうなくなったということ・・。いや、落ち人になれば行く事は出来る。だけど、それは時と場所を選べない・・・。だから実質、もう向こう側へ。元の世界へ自ら選んで行く事は出来なくなってしまった……ということ)
………両親にはもう会えない。
(だけど、自分はこちら側の世界へ戻る事を選んだんだよ。ランフィスを選んだんだ)
両親にきちんとこちら側の世界へ来たその理由を言えて良かったと。優斗はそう思った。
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