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祝福-2

…… ……… ………… ランフィスは高い位置にある「祈りの櫓」へ優斗を連れて行った。ここは城のどこよりも高台にある。だから、陽の国を見渡せることができる場所だった。 日が暮れかかって夜空には星もきらきら出ていてとても綺麗だった。この前の隕石が落ちた時のあの多くの流れ星もぞっとするぐらいに綺麗だったけれども、だけど、この何事もないいつもの星空がやっぱりいいと優斗は思う。 ランフィスがふと、ある方向を指さす。 「あれを見て見て?」 その方向には、向こう側へと通じる泉のあった「祈りの宮」があった場所だった、今は隕石によって崩れてしまったその場所。 だけど、もう黄昏時で暗くて良く分からない。 そこへ、ランフィスが自分の内の貯め留めていた優斗との気の力を放出する。 最近は殆ど日が落ちてからの気の放出はしなくなっていた。今回は久しぶりに日が落ちかかってからの放出だった。 昼間のランフィスが気の放出をしたその映像をみた優斗だったが、昼の日の光以上の輝きを持っていた。そして今の薄暗くなりかけの時、 それは、 物凄く明るく放つ一瞬の光の波。 それが辺りをあっというまに明るくする。 すると、そこにも、緑っぽい草木が生えているのが見えた。崩れた建物の上にも、そして陽の国の全体的に淡い緑の草木と花々が今散らばっていた。 「……これ?って」 「気の放出がその理由なんだよ。だけど、この昼間からの気の放出は特殊だ」 「……なんだか、この地のすべてを癒しているみたいだ」 「今のこの被害の状況をより早く修復できるだろう……これは、私とユウトだけが成し得る力だよ」 そして改めてランフィスは優斗に向き直る。 「式典とか皆の前では言いたくない、優斗にだけ聞いて欲しかった言葉があるんだ」 急にどうしたんだろう?と優斗はランフィスをじっとみつめた。 ランフィスは、そっと片膝をついて、優斗を見上げた。 えっ?と、驚いている優斗を他所に、ゆっくりとひとつひとつ、大事そうに、 "………愛している" "永遠にともにいて欲しい……" まるでその言葉が宝石かのように言い。優斗の右手の甲へ口付けた。 "……そんなの……" それは……優斗がずっとずっと聞きたかった言葉。 優斗は瞳を見開いて ……そんなの当たり前だよ…… 応えた。 そして口付けを。 それは気の放出はしない二人だけの口付け。 空からきらきら光る白い光が2人を包んだ。 先程の気の放出が天に留まり改めて舞っているようだった。 白い光はまた陽の国のすべてに散らばる。 花びらみたいにひらひらと舞う。 天からの祝福 end ---------------------------------------------------------------- ここまでお読みいただきまして大変ありがとうございました。 このお話はこれにて終わりです。 次ページより、あとがき的なものを書いております。 もしよろしかったなら続けてお読みください。 .

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