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第26話
カーテンの締め切られた空き教室は、少人数制のゼミなんかで使われるもので、いつもの講義室よりも狭い。
今はお昼時なので、食堂やカフェテリアから遠いここには、間違いなく助けなんてこないだろう。
零士たちはそれをわかっていて、ここを選んだんだろうな、とボーッとした頭で思った。
「善岡さぁ、そんなエロい体かくしてたんだ?」
冷たくも熱っぽい視線に晒されている俺は、素っ裸で床に転がされている。ベルトで両腕と胸のあたりを一括りにされキツく締められているのが苦しくて、モゾモゾと体を捻ってみるが、それが緩まる気配はない。
なおかつ、口に突っ込まれた自分の下着のせいで、まともに声を出すこともできなかった。
「その辺の女よりくるもんあるな」
「なんか、イケる気がする」
パシリと尻を叩かれ、思わずくぐもった悲鳴が漏れる。
「ん"ん〜っ!!」
「エロ……」
「な、なあ、男ってさ、ここに挿れるんだよな?」
「おう…挿れてみる?」
「コイツのがまん汁ヤベェし、それ使えば入るんじゃね?」
じゃあさっそく、とばかりに、零士たちが動き出した。俺の体を仰向けにして、硬くなって汁を垂らすそこを握った。
「ん、んぅ、ンん」
我慢の限界だった俺のちんこは、驚くくらいの先走りを垂れ流している。軽く扱かれただけでは弾けそうだけど、俺が欲しいのはそんな刺激じゃない。精液だけくれ!!
「すげ…わりと抵抗ねぇかも」
「だな。つか零士、早く終わらせて代われよ」
「わかったって…つかゴムある?」
「あるある」
「さすが準備いいな」
零士の手が尻の割れ目にそって這う。ヌルリと俺の先走りを塗りつけ、ぐいっと膝裏を持ち上げる。
「んんん!んーーー!!」
まさかそのまま突っ込む気じゃないだろうな?そこまでバカじゃないよな?
「準備完了ー、んじゃ、善岡、お前の好きなの挿れてやるから味わえよ」
ブンブン首を横に振ってやめろと訴える。零士たちは、それを嫌がってるだけだと思っているようだ。でも違う。俺も知りたくなかったけれど、お尻はデリケートなんだよ。ちゃんとしてくれないと痛いんだよ!!
「ーーーーッ!!ヒ、ぅ…」
零士が容赦なく腰を進める。俺は声にならない悲鳴を上げ、痛みと圧迫感に耐えた。裂ける、と思った。
「ぅあ、スゲ…熱…最高かも」
緩く腰を前後しながら、零士がボソボソと呟く。他のふたりも、興味深そうな顔で結合部を凝視している。
「案外すんなり入るんだな…」
「ヤバ、普通に勃つわ」
「ん、ンん、んぅ…」
痛さばかりだったのが、俺の体はバカなので、それを快感に変えていく。零士が俺の腰を両手で掴んで、更に奥を目指して動く。
「ぅぐ、ん"っ、んん!」
内側の肉が抉れて引き連れる感覚をもろに感じる。奥の狭いところを、零士のが無理矢理こじ開けていくのがたまらなく気持ちいい。
飯田が痛いのが気持ちいいんだと言っていたけれど、今なら盛大に賛同するだろう。それに、自分の良いところを伝えられないもどかしさもまた、なんとも言えない快感がある。
「あー、いいわ、最高。善岡のケツ気持ちいいよ」
そう言うや、零士の動きが速くなった。ヌルヌルと引き抜いたかと思えば、勢いよく奥まで突き進むのを繰り返す。その度に押し寄せる快感が、俺のちんこに直撃して卑猥な汁を垂れ流す。
「ん、ふ…はぁ、はぁ」
零士が奥に吐き出し、そのまま外へと出て行く。ゴム越しに大量の精液が出ているのがわかったけど、それが俺の中に残ることはなくて、ものすごい喪失感を感じた。
「んじゃあ次オレな」
また別のちんこがあてがわれて、緩く出し入れし始める。痛いとかイヤだとか、そんなこともうどうでもよかった。
ただ中に出して欲しい。熱いのでいっぱいにして欲しい。
体は確かに反応して、気持ちいいと思っているのに、欲しくて欲しくてたまらない。
淫魔は精液を必要とする生き物だ。それは、たんに精液が欲しいんじゃない。そこに含まれる生気を糧にしているのだ。
セックスすると欲求を抑えられというのも、その行為で生気を吸うからだとマミィが言っていた。でも、女性が毎度中出しされるのは問題があるから、だからかわりに口で貰うのだ。
でも俺は男で、飯田といい、先輩たちといい、中出しされるのに慣れていた。そのせいで、中に出してもらわないとどうしたって満足できそうになかった。
そんなこと、零士たちは知らない。むしろゴムを持ち歩いているのだから、ある意味褒められたところではある。
「はぁ…善岡、思ったより良かったぜ」
三人目も終わり、俺の中から出ていった。その頃には俺は、満たされることのない体と、好き勝手にされた疲労で朦朧としていた。
拘束していたベルトが外される。震える手を動かして、口に詰め込まれたままだった下着を取ると、自分の唾液と涙でドロドロだった。
「ああ、かわいそうにイけなかった?でもさぁ、さすがにそれどうにかしてやれるほど耐性ないんだわ」
「自分でなんとかできるよな?」
「具合は良かったけどさぁ、やっぱオッパイ欲しいよな」
ギャハハと下品な笑い声。
「善岡ー、さっさと服着ないと講義始まるぜ」
じゃあな、と三人が部屋を出て行く。
俺はといえば、床に転がったまま動けなかった。
何もかもが中途半端だ。三人ともしっかり出したのに、俺は一度もイけなかったし、精液の甘い匂いだけが鼻をつくばかりで補給もできていない。
お腹すいた。極限にお腹が空いている時の感じだ。もうなんにもする気がおきない。
朝から感じていた体調の悪さも最高潮に達している。吐く息が熱いのは、事後のせいだけじゃない。
もう、一回ここで寝てしまおうか。そうすれば少しは体調も戻るかもしれない。
素っ裸だって気にしてられない。どうせ俺は変態だし淫乱だし、今更だ。
諦めの境地のような感覚で、目を閉じた時だった。
ガラガラと激しく音を立てて扉が開く。誰か来たようだ。
誰かわかんないけど、素っ裸でごめん。でも、もう指先も動かせそうになくて、だから、放っておいてくれ。
「美夜!!」
飯田?
なわけないよな。最近ずっと飯田のことばっか考えていたせいで幻聴が聞こえたようだ。
飯田なわけないだろ、俺。
だって、俺が突っぱねたようなもんだから。もう顔も見てくれない。目も合わないんだから。
もう諦めようかな。
諦めたらきっと楽だから。
俺は今まで、何を必死になってたんだろうか?
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