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偽りの窓の外 4

荷物など持たず、身軽に来た俺は服を整えて立ち上がった。 「じゃあ俺、帰るから」 「もうか? 次はいつ会える?」 「気が向けば」 そう残してアパートのドアを開けた。 外に出れば暑さに加えて一気に蝉の声が大きくなり耳を塞ぎたくなる。 蝉って幼虫の時期が長いくせに、やっと外の世界に出て来ても7日間の命とかだっけ。 それだけ短かったら、この世界のどうしようもない部分や、目を塞ぎたくなるような現実も見なくて済むのだろうか。 空を仰ぎながらため息が漏れる。 俺には見たくないものが多すぎた。 自分の性癖にも飽々している。 叶わぬ恋だと知りながらも、好きなことをやめられないことにも。 そして最近は前にも増して両親の喧嘩が増え、家の雰囲気も最悪だった。 正直、雰囲気の悪い家にも帰りたくはない。かといって行くところもない。 でも仕方がないので、鉛のように重たい気持ちを抱えたまま家に帰るしかなかった。

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