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偽りの窓の外 6
「進路を変えるつもりはないのか?」
何度、この話をしただろうか。
「ありません」
「でもなぁ、お前くらい成績がよかったら国立とか充分狙えるんだが」
「通える範囲の国立には俺の希望する学部がありません」
「うーん。じゃあ、医学部とか。お前だったら医者になれるだろ」
先生の話は終わりが見えない。
「医者は考えていない。俺は俺の将来を考えてこの専門学校に決めたんです。レベルが低いとも思わないし、国家試験の合格率だっていいし、就職率も高いじゃないですか」
「先生はべつに専門学校が悪いとは言ってない。ただ……」
先生は続ける言葉を探しながら、息を飲んだ。
先生の言わんとすることはだいたいわかっていた。
俺が志望校にしているのはとある医療系専門学校だ。
専門学校にもピンからキリまであることはあるが、行こうとしている学校の偏差値は可もなく不可もなくと言ったとこだった。
しかし問題となったのはむしろ俺の偏差値の方で、国立大も名だたる有名私立大も狙える生徒をみすみす専門学校へ行かせることは学校としてまずいらしい。
先生がそう直接言葉にしたわけではないが、難関大進学率を上げたいんだいうことはなんとなく伝わった。
俺も本当のことを告げていないから、在り来たりな表の理由だけでは先生も納得しないのだろう。
表向きの理由は、手に職をつけたい・早く社会に出たいから。
けど、本当の理由なんて……言えやしない。
それは、表向きの理由以上に納得なんてさせられない、不純な動機なのだ。
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