一度、理由を聞いてみたことがあったが、和臣は「価値観の違い」としか言わなかった。 「今度は長続きさせろよ。どんな価値観かわかんないけど」 心にもないことを不自然にこわばった表情にならないよう気を付けながら発する。 すると和臣は「そうだな」と言った。 そして屈託のない顔を向けてこう続けたんだ。 「陽斗が女子だったら絶対付き合ってるだろうな」 「……は？ 何言ってんの」 「だってさ、陽斗とはずっといても楽だし趣味や嗜好だってにてるだろ？ それに女子だったらかなり美人だと思うし」 「馬鹿言ってないで課題しろ……」 和臣はわかっていない。 お前のこういった何気ない発言で、心がズタズタに切り裂かれる感覚を。 たらればの話は、所詮たらればなんだ。 それは、当然のことだが和臣が女としか付き合うつもりがないことを改めて突き付けられる。 当たり前のことなんだけど、苦しいくらいに胸が締め付けられる。 ……今度の彼女も、すぐに別れてしまったらいいんだ。 親友の恋も応援することができず、そんなことばかり考えていると更に心にどす黒いものが渦巻いていくような気がした。