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偽りの窓の外 17

「帰る」 マサルの手を振りほどき外に出れば、夜だというのに蒸し暑くまとわりつくような湿度にうんざりしながら駅まで歩いた。 マサルとは去年の暮れにたまたま行ったクラブで出会った。 背格好が和臣に似てると思いながら見ていたときに目が合って誘われたのがきっかけだ。 少し話をすると向こうも気軽に遊べるやつを探していたこともあり、俺自身も和臣との関係に悩み欲求を発散できるところを探していたので、今に至る。 後腐れなく軽い付き合いができて、セックスの相性も悪くない。 いつもマサルに抱かれるたびに和臣を想像していることは申し訳なく思っているが、それはどうしようもなかった。 俺はきっとこれからも行きずりの相手に和臣を重ねて抱かれるだろう。 俺の心の中にはいつだって和臣しか住んでいない。 その和臣に本当の自分を見てもらえないのならば、それはないも同じだった。 でも、親友としてそばにいることを選んだのも俺だ。 自分で選んでおきながら、自分の置かれている現状にモヤモヤし、胸を痛め欲求を発散できずにいるなんて我ながら勝手だと思う。 でもこんな感じでこれからも過ごしていくのだろうって……、その時は思っていた。

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