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偽りの窓の外 20
ひゅっと乾いた音を立てて喉が鳴る。
体の中心に大きな穴が開いて、そこからどんどん熱を奪われていくような。
とにかく、冷えていく。
そして俺の中にある黒い感情がその穴から漏れ出ていくのを止められない。
平静を保ったまま発した言葉は、自分の声なのに思いのほか低く冷たく感じた。
「あるけど。和臣はないの?」
「え!? あんの? 俺、聞いたことないけど」
「言ってなかったから」
自分のことで精一杯の和臣は俺の変化なんか気にすることなく、話を続ける。
「いつだよ。お前、彼女いないって言ってて本当はいたのか?」
「いつでもいいだろ。彼女なんていないよ」
当たり前のことだけれど、俺の相手が女性だと決めつけているさまにも、間接的に和臣は女としか付き合わないんだと念押しされているようで気分が暗くなっていく。
俺の初体験は2年前だ。
今はネコしかしないが、その時はタチもネコもした。
でも、そんなこと和臣には絶対に言うことはないけれど。
すると和臣は少し不満げだったが、軽く息を吐いて俯いたまま視線だけを俺に向けて動かした。
「来週さ、彼女の両親が親戚の結婚式で留守にするんだって……」
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