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偽りの窓の外 22
「はずかしかったけど。やっと買えた」
嬉しそうに微笑む和臣を見て心がびりびりに破られていく。
それと同時に、こんな和臣の想いを独り占めできる彼女に対する嫉妬や憎悪が膨らんで、そんな自分が怖くなる。
「コンドームの付け方わかんの?」
俺が聞くと和臣は困ったように眉を下げた。
「さっと付けられなかったらカッコ悪いよな?」
困り顔でも笑顔で返す和臣に、言葉は勝手に出てしまっていた。
それは自分にとってはナイフのように鋭くて、賭けにも近く、自分で自分を傷つけるような言葉。
でも、無意識だったんだ。
「……教えてあげよっか? ……練習…する……?」
自分の発した言葉が耳に響いたときに理解してハッと顔を上げると、和臣はびっくりしたように目を丸くしていた。
でも俺が取り繕う言葉を探している間に、和臣は肩を震わせ笑いだし俺の肩をポンと叩いた。
「俺、そんなに思いつめた顔してた? つか、陽斗が真剣な顔して言うと冗談が冗談に聞こえないな?」
「……冗談?」
「だって俺を励ますってか、笑わせようとしてくれたんだろ?」
「いや、……」
「さすがにそこまで陽斗の世話にはならないからさ。つか、冗談は笑って言えよ。一瞬ビビったし」
笑いながら言う和臣に合わせてその場ではなんとか精一杯笑顔を作ったつもりだったが。
心がもう限界だと叫んでいた。
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