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面影の数だけ微熱が残る 4

高校生の時から思っていたことだけど、臨床検査は奥が深い。 普段病院に行って目にする検査というのはほんの一部で、裏に回ればありとあらゆる部門に分かれ、その様々な検査結果から診断がくだされる。 そのすべてを完璧に習得することは容易いことではないけど、一つひとつ習得していかなければ。 自分から連絡を半ば強制的に拒否したくせに、和臣という存在は心の片隅に居ついている。 和臣と連絡を絶ち、まったく医療とは関係ない道に進むことだってできたはずなのに、俺は臨床検査技師の道を進んだ。 臨床検査技師に魅力を感じていたことも大きいが、やっぱり中学生の時に和臣が言った言葉が忘れられなかったんだ。 つくづく思う。 本当に、俺の世界の中心はいつでも和臣なんだ。 そばにいても、いなくても。 あの時は、些細なことすら耐えられないくらいに子供だった。 思春期で片づけるにはいささか簡単すぎるが、親の離婚にかこつけて拒絶することでしか自分を守れなかった。 今ならどうだろう? でも、今もさほど変わらないかもしれない。 大人になったからこそ、もう現実しか残されていない気がする。 だからだろうか。実は今、高校のときに住んでいた街からそんなに離れていない場所に住んでいるけれど、何度かあった同窓会にも行けずにいた。

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