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面影の数だけ微熱が残る 6

でも背格好や雰囲気が似ていても、振り向いた顔は和臣とは似ても似つかないのが当たり前だけど殆どだ。 そしてその男は傘を置き、マスターと談笑しながらこちらに体を向ける。 また和臣には似ても似つかない顔なんだろうと思いながらウイスキーの入ったグラスを口元に近付け、男が振り向くのを見ていた。 しかし男の顔がはっきり見えると、思わず一連の動きが止まる。 見覚えのある顔に固まった。 そしてそれは向こうも同じようで、俺に気付くと驚いたように目を丸くしてこちらを見ていた。 その男は、マサルだったのだ。 ───… 「こんなとこで再会するとはな~。いきなり連絡取れなくなったじゃん。なんかあった?」 「……あの時は、親が離婚して母親についていくことになったから」 「大変だったんだな」 「別に」 「お前、相変わらず可愛くないな」 思いもよらない再会をした俺たちはカウンターに並んで酒を酌み交わしている。 マサルは25歳になっていたが、ケラケラと笑う軽い笑い声は相変わらずだった。

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