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面影の数だけ微熱が残る 8

稼いでると自分で言うだけあって、洒落たエントランスのあるマンションに住んでいた。 部屋はシックなモノトーンを基調の広々としたワンルームで、学生のときに住んでいたような汚い天井の部屋とはうってかわってお洒落に整っている。 家具なんかもそれなりに拘っているみたいで、それはどれもそこそこ良いものに見えた。 「そんなに稼いでんの?」 「まぁね。オレのこと気になってきた?」 「ならない」 クスクス笑いながらマサルが俺の顎を持ち上げる。 「で、もうキスはしてもいいの?」 「キスはしない」 「それも変わらないんだ。ま、いいけど」 そして、そのままベッドになだれ込んだ。 今日はこういうのは抜きで飲みたい日だったにも関わらず、俺はあの頃と何も変わっていない。 また和臣を重ねて抱かれるだけだ。 体を開かれ揺さぶられ、肌の温もりは気持ちがいい。 高まる快感の中、また和臣を想像した。 和臣はどんな大人になっているのだろう。 和臣も背が高いから白衣がよく似合うと思う。 そしてその白衣を脱ぐ姿すら想像した。 ……色香を帯びた和臣をマサルに重ね、意識が白むと俺は欲望を吐き出していた。 ───… ──────

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