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歯車は噛み合わない 4

上原という女は何でもズバズバと言うのだが、変に勘がよく不意を突かれてしまうこともよくある。 そんな俺の一瞬の表情すら逃さず「初恋なの?」と聞いてきた。 「何も答えてないだろ?」 「一瞬、誰かを思い浮かべたような顔をした。私の目は誤魔化せない」 本当にこいつは怖い女だ。 するとすかさず、藤森と神崎も興味津々で身を乗り出してきた。 「野村くんの初恋の話聞きたい!」 「俺も興味ある!」 「なんで俺の話なんだよ」 「だって、野村ってこういう話しないじゃん!」 うんざりしていると、また上原が静かに言った。 「言わないと私たちが想像した一番恥ずかしい妄想を公式記録にするわよ」 「脅迫めいてるな」 「さぁ、話しなさい」 結局は根負けしてしまい、小さくため息をつく。 「面白くもない話だよ。叶わない初恋だったんだから」 「どんな子だったの?」 神崎に言われて、和臣との記憶を思い起こした。もう戻れない懐かしい高校の記憶。 「明るくて、いつも輪の中心にいるようなやつだったな」

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